Excel(MS365): 表記方法の統一ルールを遵守するには具体的にどうすればいいのか

河野太郎内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革)(長ぇ)が2020年11月に Twitter などで広く意見を求めていた「機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール案」ですが、2020年12月18日に総務省から 総務省|統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルールの策定 のページで策定されたものが公開されておりました。仕事早っ。

ただ、お役人に限らず非電算部門の方々と一緒に仕事した経験が多々ある身としては、Excelで会議資料をなんとか作成するのが精いっぱいな方も多かったよなーと思い起こされ。

策定資料では「こうするべからず/こうあるべき」な対比で説明してくれてはいるんですが、実際Excelで会議資料作ろうとして時に「どの機能を使ってどう操作すりゃいいの」と途方に暮れるさまも目に見えるようで。

わかればどうということもないルールも多いので、思いつくままに「Excelをどう操作すれば実現できるのか」と「印刷を見越す場合はどう対処すればいいのか」をちょっと考えてみたいと思います。

書式設定をフルに使い倒そう

まず資料で目につくのは、全体的に「データに見てくれを持ち込むな」というポリシーです。

チェック項目1-2の「1セルに複数データをまとめて記入」とか1-3の「注釈の混ぜ込み」などは、手書きの頃からの官製資料の悪癖ですね。これについてはExcelの操作でどうにかなるものではなく、関係諸氏の意識改善を望みたいところです。

1-3の「単位の混ぜ込み」も悪癖かな。学校で表の書き方を習ったときは、表の外側や見出し側に単位を書くよう指導されたように覚えているんですけどね。
単位については1-9で「見出し側に」「見出し名称とは別セルで」記載せいとのことなので、そうすればいいのではないかと。

同じく1-3のマイナスを表す「▲」や3桁カンマ区切り、カンマの代わりの3桁空白区切りなどは簿記系の発想で、これはこれで事務上は正しいんですけどデータの再利用という面から考えるとちょっと厳しいかな。

「-1234」という数値を「▲1,234」と表示する設定は、「書式設定」という機能であらかじめ用意されています。むりにセルに▲とかカンマとか書き込まなくても、入力データは再利用可能な数値のまま、より自然に読み下せる表記にできるわけですよ。むしろなぜ今まで書式設定を使わなかったのかまである。

ショートカット Ctrl+1(フルキー)で「書式設定」ダイアログを呼び出し → [表示形式]タブの[分類]で[数値]を選択 → [桁区切り(,)を使用する]にチェック → [負の数の表示形式]で[▲1234]を選択。


すると、入力データは「-1234」のまま、見た目は「▲1,234」になります。

1-11で言及されている和暦も、入力はデータは西暦のままで表記だけ和暦にすることができます。

「書式設定」ダイアログの[表示形式]タブで 分類:日付 → カレンダーの種類:和暦 → 種類はお好みで。役所では「令和1年」ではなく「令和元年」と書くのが普通みたいなので、[1年を元年と表記する]にもチェックを入れておきましょうか。

と設定すると、

ご覧のとおり。

ただし、「令和」対応させるためには、Excelのバージョンはある程度古くても構いませんが、最新のOffice更新プログラムをかけておく必要があります。詳しい内容や対応方法は 日本の新元号に関する Office の更新プログラム あたりを読んでいただければいいと思いますが、要は「新元号『令和』に対応するUpdateをかけてね」ということです。

この更新がかかっていないExcelでは、「2019/12/31」は「平成31年12月31日」と表示されてしまいます。

ただ、役所のパソコンってネットにつながってないのも多いので……組織によっては各種更新プログラムを組織内で取得→再配布かけてくれているところもありますが、でなければ更新をかけるのはなかなか難しいかもしれません。特に、他省庁など外部に配布する資料では気をつけた方がよさそうです。基本、自分のマシンで印刷まで行う場合に留めておいた方が無難かもしれませんね。

ちなみに、「令和」なのは「2019/5/1」からです。「2019/4/30」までは「平成」で表示されます。

1-5で「文字列の間にスペースを入れて体裁を整えるな」というのも、書式設定でデータを変えずに見た目だけ整えることができます。

今度は[配置]タブの[文字の配置]-[横位置]で[均等割り付け(インデント)]を選べばOK。

できれいに両端が揃います。

フォントの種類や横幅(たとえば、Meiryo UIでは「い」は「う」より横に広いです)に関わらず揃うので、「等幅フォントに変更してから半角/全角のスペースを駆使する」よりよっぽど簡単でゲンミツです。

「セルの両端に寄り過ぎて窮屈なので、両端に少し余白を置きたい」とか贅沢なことを言われたこともあります。そんなときは、[配置]タブの[文字の配置]-[インデント]に「1」と指定すれば、約1文字分の余白が両端につきます。

で、

こんな感じですか。

ただしこれ、アルファベットには使えません。字間が空かずにセンタリングされるだけなので限定的といえば限定的なワザではあります。

セル結合は印刷前提なら超重要

なにかと評判の悪いセル結合ですが。実際、ほとんどのケースではセル結合は要らないんですよね。

以前、客先で使っている結合セルが数十万セットあるワークブックを「動作が遅いのでなんとかしてくれ」と渡されたことがありまして。
ファイルやメモリ内に保存されている結合状態の論理情報からワークシート上での結合状態表示のための計算が実行されるので、結合セルが多いほど起動や動作がむっちゃもっさりします。

さて、セル結合をせずに、複数セルの範囲の中心に文字列を表示するには。

まず、例えばひとつのセルに文字列を入力し、そこから横に3つのセルを選択します。

その状態で「書式設定」ダイアログを呼び出して[配置]タブの[文字の配置]-[横位置]で[選択範囲内で中央]を選択します。

すると、

セル結合なしでも3セルの中央に入力した文字列が。

ただまあこれ、残りふたつのセルにはデータを入力しちゃダメなので、再利用を考慮した場合、統計表には使えないワザではあります。

話を変えて。では、どんなときに結合セルは有効か。

長い文章をはみ出させずに印刷したいときですね。

たとえば、印刷範囲を意識して印刷範囲ギリギリまで文章を入力したとします。

これを実際に印刷したり、印刷プレビューで見てみたりすると、

プリンタによって程度は異なりますが、まあだいたいページからはみ出て、はみ出た分は次のページに印刷されてしまいます。画面表示と印刷物でレイアウトが崩れる代表例のひとつですね。

こんな時には結合セル。

はみ出るのは変わりませんが、はみ出た分はセル内で折り返してくれます。

これを知らずに、実際の印刷に収まるように、はみ出る分を下のセルに入力するというほうほうで凌いでいるフォーマットもよく見かけます。

が、これ、その文章を編集しようとしたときにむっちゃ困ります。文字の増減に合わせて文字列の端の方を切り取って上下のセルに回すなんて不毛な作業を行わなければなりません。年度ごとに表現の変わる注釈文なんかだと、もう毎年賽の河原的な気分を味わえます。さらに、業務システムからExcel帳票出力なんてことになると「目で確認」ができないので、何度も出力操作を繰り返しながら各行の文字数調整を行わなければならないという。

「結合セルなら確実にページ内で収まるよう折り返してくれる」

地味ですが、作業効率は段違いですよ。


ちょっとこれ、書き出すと止まらない。

もうちょいお話ししときたいことがありますので、項を分けます。

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